広島から“楽しい”を届ける

イラストレーター さとうもぐもさん
広島を拠点に活動するイラストレーター/デザイナー・さとうもぐもさん。商業施設や観光、スポーツ、フードブランドなど、ジャンルを問わずさまざまな分野とコラボレーションしながら、見る人の心をふっと和ませる、ユーモアとあたたかみのある作品を数多く手がけています。ジャンルも活動場所も飛び越えて、“楽しい!”を届け続けるもぐもさん。お仕事への思いと、作品づくりのこだわりについて聞いてみました。
もぐもさんの“仕事のかたち”
―― フリーランスのイラストレーターとして活動を始めたきっかけや、ターニングポイント、印象に残っている出来事があれば教えてください。
比治山大学卒業後は印刷会社でデザイナーをしておりました。フリーランスになったきっかけですが、働いているうちにデザインの講師をしたいと思いはじめ、タイミングに関して大きな理由はなく「今だ!」と思い独立しました。 元々大学時代のアルバイトでグラフィックの授業の先生の助手のアルバイトをしていて、もっと続けたいとはずっと思っていました。 慌ただしく退社して当時の印刷会社の先輩方にご迷惑をたくさんかけましたが、独立してからもたくさん仕事の面や生活の手助けしてくださり、今でもその印刷会社のかたたちとは定期的に会っています。大学生の頃に知り合ったアーティストの先輩方や営業職のかたにも仕事のやり方を教わったりとたくさんお世話になり、みなさんがいなければ今の私はなかったと思います。素敵な先輩方に恵まれたとしみじみ思っております。
―― 広島を拠点に活動されている理由や、広島で活動するうえで、意識していることや感じる魅力について教えてください。
この活動をしていると県外へ行ってしまうのかと聞かれることがとても多いですが、広島県以外を拠点にする予定は今のところありません。やっぱり大好きな広島東洋カープの存在が大きいですね。最近では広島ドラゴンフライズにもハマっています。野球、サッカー、バレー、バスケットボール、自転車など、さまざまなスポーツがこんなにも盛んな県は珍しいと聞きます。私のようなスポーツ好きにはたまりませんね。
――“やさしいスポーツ”という言葉には、もぐもさんらしい温かさを感じます。その言葉に込めた想いを聞かせていただけますか?
スポーツは楽しいものですが、「怖い」というイメージもよく聞きます。 私自身、子どもの頃はスポーツ観戦には興味がなくむしろすごく苦手で、スポーツ観戦を好きになったのは成人してからでした。なので、どちらの気持ちもよくわかるつもりです。私の作品では、常に初心者のかたにもわかりやすいように描くことを意識しています。難しい用語には注釈を入れたり、絵のタッチも優しく、明るい色使いを意識しています。とにかく、優しく、優しく…。 私の書いたスポーツあるあるの漫画やイラストを見て、子どもたちやスポーツに興味のないor興味はあるけれど怖いと思っている大人のみなさんがスポーツに近づくきっかけになる手助けになればいいなと思っております。


もぐもさんの“らしさ”
―― 幅広いジャンルで活躍されていますが、それぞれの仕事で自分らしさやこだわりを表現する際に大切にしていることはありますか?
最近ではアート作品やデザインの他に絵本や漫画の仕事が多いのですが、いずれも絵作りにおいてファンの人が見るとクスっとなるような「小ネタ」を散りばめることを意識しています。例えば関西の絵本には豪華な食卓の上にひっそりと「たこ焼き」を置いたり、野球関連のお仕事ですとイラストで描いた本棚の本の色を球団色に塗ったり、その県の県花を額縁に描いたりなど。隠れ要素というのでしょうか。子どもたちの「こんなものがあったよ!」と発見したときの声を聞くのが大好きです。
―― 今後、自分らしさを活かして挑戦してみたい分野やテーマはありますか? また、あえて“自分らしさ”の枠を超えて挑戦してみたい、意外なテーマやジャンルがあれば教えてください。
実は名前の「もぐも」の由来は食べる擬音語の「もぐもぐ」です。昔から食べることが大好きです。大好きなスポーツと食を融合した食品パッケージのイラストを描くのが夢です。
―― 最後にお聞きします。
あなたにとってアートとは?
私の「アート」って難しくないものにしたいなと思っています。日常のふとした瞬間に感じる「綺麗な海だな」とか「このお箸の口当たり良いな」とかの気持ち。


もぐもさんが気になったあなたへ!
https://www.youtube.com/@art-yamadagoro
美術評論家・編集者の山田五郎さんが美術の紹介をされているチャンネルです。私の制作中にラジオのように流しています。 このかたの動画を見てから美術館へ行くと、ちょっと得した気分になれます。
・ぽんぽこちゃんねる
滋賀県の甲賀市でご兄妹で活動されています。 滋賀県の魅力と愛が伝わる動画の数々はもちろん、全国各地で展示会や音楽活動もされていて、グラフィックのアートを毎回楽しみにしています。お二人のような地元愛にあふれた活動者になりたいと憧れています。 今年は広島県でもイベントを開催するようですよ。広島市在住。比治山大学短期大学部美術科映像・アニメーションコース卒業後、フリーランスのデザイナー・イラストレーター・漫画家として活動。柔らかなタッチのイラストや似顔絵を得意とし、「お客様に楽しんでいただくこと」をモットーに地域の町おこしやファミリー向けイベントのデザインを多く手がけ、イラストやデザインで大人から子どもまで楽しめる「やさしいスポーツ」の世界を目指す。また、広島県内のプロジェクトに積極的に携わり、地域の魅力と課題発信に貢献。趣味は舞台鑑賞とスポーツ観戦。
めちゃコミック「おもいだせ!つば九郎」
漫画/絵本「スターマン☆ランド~おなかのおおきな王子さま~」
横川ビクトリーロードデザイン
絵本「ミャクミャク ある日の おはなし」etc…